ROBERT MAPPLETHORPE (1946-1989)


右:Patti Smith / Dream of Life  Arista AL-8553  1988年
左:Swans / The Burning World  Uni Records uni-601  1989年

ロバート・メイプルソープという人は、1980年代のアートの世界では本当のスターだったんだと思います。写真家がアーティストとして世界各国で展覧会が催されるということは、今後もうないのではないかとも思う。メイプルソープは、右のアルバムの「パンクの女王」と言われたパティ・スミスとの関係が有名で、彼女の1975年のデビュー・アルバム「Horses」の方が評価が高いのですが、残念ながら現在私は所有しておりません。「ドリーム・オブ・ライフ」は、彼女が1980年に結婚を機に音楽活動を休止していた後の復活のアルバムで、1987年に撮影したメイプルソープ撮影のポートレートが使われました。彼の写真の多くは割と「即物的」で「情緒性」はあまり私には感じられないのですが、ことパティ・スミスのポートレートとなると、全然違う印象を受けます。

写真家の被写体として「花」は、特に珍しいモーチフではないのですが、メイプルソープのそれは「自然美」ではなく「造形美」という言葉がふさわしい作品で、私にはスタジオでポーズをとるモデルのように感じられます。


右のパティ・スミスのレーベルは、大手メジャーだからなのか「ダサい」デザイン。独自のカスタム・レーベルにして欲しかった。左のスワンズのレーベルは大手MCA傘下で、すっかり聴きやすくなった。プロデューサーは、あのビル・ラズウェル。

Laurie Anderson / Strange Angels  1989年
ローリー・アンダーソンというアーティスト/ミュージシャンも80年代に活躍しましたね。これもメイプルソープの写真ですが、彼はこのアルバムが発売される数ヶ月前にエイズで亡くなっています(享年42歳)。


メイプルソープの写真がレコードジャケットに使用されているのは、パティ・スミスを除けばそれほど多くはありません。彼が得意とする被写体は過激な物が多く、独特の象徴性があるので、そもそもミュージシャンのポートレート以外は「音楽」とは結びつきにくいように思います。彼が亡くなった1989年は、音楽メディアがレコードからCDに移り変わる時期で、90年代になるとアメリカと日本ではほとんどレコードが生産されなくなります。パティ・スミスは「元パンクの女王」になり(悪い意味ではありません)、スワンズは「ポスト・パンク」から「フォーク」っぽくなって「うるさくない」音楽になります。ローリー・アンダーソンは、コンスタントにアルバムを作り続けます。彼女は90年代になってヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードのパートナーとなります(後に結婚)。思えば、パティ・スミスのデヴューアルバムのプロデューサーは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルでした。ヴェルヴェットと言えば仕掛け人は「バナナ」のレコードで有名なアーティスト、アンディ・ウォーホルです。彼は1950年代から1987年に亡くなるまでレコードジャケットのための作品を作り続けました。(因みに、スワンズのマイケル・ジラのヴォーカルは、ルー・リードによく似てると思う)






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