GRANT GREEN / Green Blues Muse 5014 1973年 GRANT GREEN / Born To Be Blue Blue Note BST 84432 1985年 ジャズのレコードを蒐集していて、ある程度詳しくなると時々首をかしげるアルバムに出くわします。右側の「Green Blues」がそれで、録音が1961年になっているが、少なくともその当時のグリーンの肖像ではない写真がジャケットに使用されています(髪が薄くなっている・笑)。どっかで見た写真だなぁと思ったら、左の「Bone To Be Blue」のアルバムと同時期のカット。このアルバムはブルーノート・レコードの未発表音源を1985年にリリースしたもので写真の撮影者はミュージシャンのポートレートで有名な チャック・ステュワート で、右のアルバムも同じクレジットでした。インターネットで調べると1970年あたりの撮影らしい。「Bone To Be Blue」の録音が1961〜1962年なので、どちらのアルバムもジャケット写真に「違和感」が残る。当時の写真が何らかの権利関係で使用出来なかったのだろうか? ついでに、名前が「グリーン」なんだけどタイトルが「ブルー(ス)」ってのも同じ。文字やレイアウトは、左がやはり80年代風ですが右のは60年代風になっていて面白いです。 そして、右の「Green Blues」は、オリジナルリリースが1961年で、デイブ・ベイリー(ドラム)がリーダーの 「Reaching Out」 というアルバム。音源の権利が移って再発の際にグリーンのアルバムにしちゃったようです。1989年には別なレーベルから 「Grant Green / Reaching Out」 というタイトルで発売されたようで、何ともデイブ・ベイリーがかわいそうになります。 ミュージシャンは「演奏」して報酬をもらうんですが、音源(テープ)の権利は持ってないし、演奏を収めたパッケージ(レコード・CD)のデザインにも全く関与出来ないっていうのも物悲しい気がします。 右がMUSEのアメリカ盤。左が日本盤(東芝)。 ついでに、グラント・グリーンのアルバムで何だか紛らわしいのがこの2枚。右のが未発表音
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TOM WAITS / BIG TIME Island 90987-1 1988年 TOM WAITS / THE BLACK RIDER Island ILPS 8021 1993年 左がライブで同名のドキュメンタリー映画のサウンド・トラック・アルバム。右はトムが音楽を担当したミュージカルの同作の楽曲をスタジオで録音したアルバム。 初期のアサイラム・レコード時代のアルバムは、全て本人のポートレート使われていますが、アイランド・レコードに移籍後は、アーティスティックな雰囲気のイメージが使用されるようになりました。レコード会社の意向なのかもしれませんが、トムが「ミュージシャン」から「アーティスト」に変わって行ったようにも感じられます。 この2枚のジャケットの表面は文字だけですが、音楽の内容と非常によくマッチしていて、優れたデザインだと思います。トム・ウェイツは、俳優として映画にも出たりしている人で、本人がアルバムのジャケットを飾れば売りやすいと思うのですけどね。ただ、アイランドからアンタイ・レコードへ移籍後は、ほとんどトムのポートレートのジャケットになってしまいました。 The Black Riderの裏面と内袋のデザイン 「Big Time」がアメリカ盤。右の「The Black Rider」はイギリス盤のようですが、多分アメリカでカッティンされてドイツでプレスされたようです。1993年はCDが普及して、アメリカや日本ではもうレコードはほとんど発売されていません。 Tom Waits / Real Gone アンタイ・レコードから発売されたデザインが文字だけのCD。文字の部分がエンボス加工になっています。レコードもあるようですが、見たことないので同じような加工がされているかは不明。
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CECIL TAYLOR (1929-2018) Blue Train and Cecil Taylor Quintet / Blue Fire United Artists (Victor) MJ-4001 1959年 Cecil Taylor / Chinampas Leo LR153 1988年 セシル・テイラーというピアニストは、かなりの数のレコードがありますが、「よく売れる」とか「みんなが欲しがる」というものはほとんどありません。強いて言えば、左側の自動車の写真を使用したアルバムが有名です。ただ、よく知られているのはジャケットもタイトルも全然違うレコード(持っていない)で、共演者のジョン・コルトレーンのアルバムとして後年売られました。右側のレコードは、何とポエトリー・リーディング(詩の朗読)のアルバムです。ピアノは弾いてなくて声とパーカッションが多重録音されています。 このレコードのオリジナルは、「Cecil Taylor Quintet / Hard Driving Jazz」で12インチ(30cm)のLPですが、これは違うタイトルに変えられてて、10インチの一回り小さいレコードとして日本で発売されました。 裏面の解説ではジョン・コルトレーンのアルバムになってます(笑)!一般的に10インチは12インチより小さいので、曲の収録時間が少ないのですが、これはオリジナルの12インチと同じ4曲です。 レーベルはUAの初期のデザインを使っています。 右側のレコードの裏面:限定500枚という記述があります。CD化されましたが、ジャケットのデザインが違うようです。 レーベルのデザイン ジャズという音楽ジャンルは、万人が聴いて楽しめるというものではないと思いますが、その中でもセシル・テイラーの音楽は「難解」な部類に属しています。車の中や酒場で聴いて楽しめる音楽ではないということです。私は20代の時に彼のレコードを沢山買って聴いていましたが、3枚組のライブアルバムなんかを続けて聴くとかなりグッタリしました(笑)!ほとんど「修行」です。 音楽は「芸術」のジャンルの一つですが、レコードは「商品」で、売れなけらば成り立たないメディアです。左のレコードは日本で発売する際に、ジョン・コルト
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マティスとデュビュッフェ Ella Fitzgerald / sings the Harold Arlen song book Verve V-4046-2 Ella Fitzgerald / Clap Hands, Here Comes Charlie ! Verve V-4053 どちらもアメリカのジャズシンガー、エラ・フィッツジェラルドの1961年発売のアルバムで、カヴァーのポートレートを描いたのは左が アンリ・マティス 、右が ジャン・デュビュッフェ 。二人とも20世紀を代表するフランス人画家です。アルバムのために描いたものではないようです。両巨匠の作品にケチをつけるわけではないのですが、どちらも何だか誰でも描けそうな絵ですね。まぁ20世紀のアートとはそういうもので、いざ素人がやってみるとこういうふうには描けないんですが・・・。 マティスの作品はクラシックのアルバムにはよく使われていますが、デュビュッフェとなると・・・これ以外は見たことありません。これらのレコードの発売元のヴァーヴ・レコードのプロデューサーのノーマン・グランツという人は美術品コレクターだったようで、のちに「パブロ」という名前のレコード会社を作ります。あのパブロ・ピカソの名前です。 左のレコードは、後から作品名と作者の名前が書かれたシールが貼ってあります。ネットで検索すると、上にアルバムタイトルを後からシールで貼った画像や文字がない画像もありました。 黒・銀のT
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JOAN BAEZ / "FAREWELL ANGELINA" Vanguard VSD-79200 1965年 アメリカのシンガー、ジョーン・バエズの4枚目のアルバム。タイトル曲はボブ・ディラン作曲。他にドノヴァンの曲とかも歌ってます。ポートレートの撮影は リチャード・アヴェドン です。左のが初期のプレスのジャケットで、右のが多分70年代に入ってからの再発。元の写真は同じなんですが、白黒のバランスとコントラストが全然違います。 左のには表面にニス引きのような「艶」がありますが、右の再発にはありません。印刷は紙の質やインクの違いで色の出方が変わります。レコードジャケットに使用する写真の印刷の仕上がり具合を写真家がこだわるとは考えにくいのですが、やはりデザイナーなんでしょうか?再発になると当時の「こだわり」がなくなって、多分第三者の手による劣化コピーになっているように感じます。写真家の土門拳さんは、撮影した写真が写真集や雑誌になる際、使用する紙やインク、装丁に対して強いこだわりを持っていたそうです。 左が初期盤。黒いのもあるようで、どちらがファーストプレスかわかりません。再発のもレーベルのデザインは、あまり変わりません。「STEREOLAB」って何だろう? リチャード・アヴェドンのポートレートでは、こちらの方が有名かな!? 家にあるのを見てたら、これもアヴェドンでした! 面はこれ!説明不要(笑)。
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DONOVAN / CATCH THE WIND Hickory Records LPM 123 & LPS 123 1965年 イギリスのシンガー、ドノヴァンのデビューアルバムのアメリカ盤。左がモノラル、右が擬似ステレオ。彼は「英国のボブ・ディラン」なんて言われたりしていますが、アルバム・タイトルでデビュー・シングル曲「風を捕まえて」はディランの「風に吹かれて」を意識したんでしょうか?他の収録曲には、世にディランを紹介したと言われるフォークシンガー、ジョーン・バエズのヒット曲「ドナ・ドナ」なんかも歌ってますし・・・! 本国イギリスで発売のレコード は同じ写真を使っていますが文字のレイアウトが違います。ドノヴァンは左利きではないので、左のレコードの写真は「裏焼き」だと思います。イギリス盤にはステレオのレコードがないみたいです。なので、アメリカで発売する際にモノラル録音の音源を電気的にステレオっぽく(ちょっと空間的に広がっている感じがするように)マスタリングしなおしています。アメリカではイギリスよりも早くに「ステレオ」が普及したようで、ステレオがメインで、まだステレオの装置を持っていない人やラジオ局用にモノラルのレコードを生産したようです。モノラルの装置というのはスピーカーが一つで、ステレオ(2チャンネル)のレコードを再生しても意味がないのと、ラジオもまだFM放送(ステレオ)が普及していなくて、AM放送が主流だったようです。 レーベルのデザインは同じで、右のには「STEREO」の文字があります。 その本家ボブ・ディランのデビュー・アルバムなんですが、これも「裏焼き」だと言われています(ギターの弦の張り方が左利き用)。このレコードのモノラル盤(持ってない)は、同じ写真を使っているので、間違ってフィルムのネガを裏焼きしてしまった(現在のデジタル写真ではもうこんなことはないのですが・・・!)のか、もしかすると、文字とのレイアウトの関係でデザイナーが「わざと」左右反転したのかもしれません。 2つ目のステレオ盤(モノラル欲しいなぁ!)
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ROBERT MAPPLETHORPE (1946-1989) 右:Patti Smith / Dream of Life Arista AL-8553 1988年 左:Swans / The Burning World Uni Records uni-601 1989年 ロバート・メイプルソープ という人は、1980年代のアートの世界では本当のスターだったんだと思います。写真家がアーティストとして世界各国で展覧会が催されるということは、今後もうないのではないかとも思う。メイプルソープは、右のアルバムの「パンクの女王」と言われたパティ・スミスとの関係が有名で、彼女の1975年のデビュー・アルバム「 Horses 」の方が評価が高いのですが、残念ながら現在私は所有しておりません。「ドリーム・オブ・ライフ」は、彼女が1980年に結婚を機に音楽活動を休止していた後の復活のアルバムで、1987年に撮影したメイプルソープ撮影のポートレートが使われました。彼の写真の多くは割と「即物的」で「情緒性」はあまり私には感じられないのですが、ことパティ・スミスのポートレートとなると、全然違う印象を受けます。 写真家の被写体として「花」は、特に珍しいモーチフではないのですが、メイプルソープのそれは「自然美」ではなく「造形美」という言葉がふさわしい作品で、私にはスタジオでポーズをとるモデルのように感じられます。 右のパティ・スミスのレーベルは、大手メジャーだからなのか「ダサい」デザイン。独自のカスタム・レーベルにして欲しかった。左のスワンズのレーベルは大手MCA傘下で、すっかり聴きやすくなった。プロデューサーは、あのビル・ラズウェル。 Laurie Anderson / Strange Angels 1989年 ローリー・アンダーソンというアーティスト/ミュージシャンも80年代に活躍しましたね。これもメイプルソープの写真ですが、彼はこのアルバムが発売される数ヶ月前にエイズで亡くなっています(享年42歳)。 メイプルソープの写真がレコードジャケットに使用されているのは、パティ・スミスを除けばそれほど多くはありません。彼が得意とする被写体は過激な物が多く、独特の象徴性があるので、そもそもミュージシャンのポートレート以外